免震点検いろは

免震点検で行うこと

免震点検には、目視点検と計測点検があります。

計測点検は、竣工時に免震装置の状態や初期値を測る「竣工時点検」と、竣工から5年後や10年毎に、初期値からどれぐらいずれが生じているかを調べる定期点検で行います。

目視点検は、免震装置や免震層の状態を目視や触診をする免震点検で、経年劣化を確認します。目視点検の頻度は1年に1回が目安で、通常点検と言われています。

免震装置や建物の位置は、1年程度では大きな変位はないので、重要な施設でない限りは、目視だけでかまいません。5年や10年毎に行う計測点検は、建物の変位量を確認し、免震装置の性能を評価して、規定の管理値に収まっているかどうかを確認します。

また、目視点検や計測点検が終わったら報告書を提出いたします。

目視点検や計測点検、報告書について、その内容を詳しく述べたいと思います。

目視点検

目視点検

免震装置の目視点検では、免震装置の外観を確認し、錆やはがれ、傷などの経年劣化がないかどうかを調べます。免震装置に防塵カバーがかかっていたら、防塵カバーの劣化や損傷を確認します。また、触診で免震装置のボルトの緩みを点検します。免震ダンパーは、オイル漏れの有無を点検します。

免震層にケガキ式地震変位記録装置が設置されていれば、装置が壊れていないか、地震によるケガキの軌跡がないかどうかを点検いたします。

免震層内の目視点検では、免震層内に可燃物がないかどうか、免震層内の排水状況はどうか、配管の可撓継手部や配線の変位吸収部の経年劣化や余長の確認をいたします。

また、建物外周では、地震による建物の可動域内に障害物がないかどうかを確認します。

このような目視点検の内容は、一般社団法人日本免震構造協会(JSSI)が定めている維持管理基準に基づいた内容の免震点検を行います。

また目視点検は、JSSIによって毎年行うことが推奨されています。毎年点検を行う理由はさまざまですが、大きな理由の一つにメーカー保証があります。免震装置は、通常であれば長い年月のメーカー保証がありますが、点検を怠っているとメーカー保証を受けられない場合があります。

また、目視点検は特に点検用の道具を使わないので、誰でもできそうに思えますが、免震点検技術者の資格を保有している人が点検を行うことがJSSIにより推奨されています。また、免震点検の経験豊富な人が点検を行った方が、一般の人よりも劣化している箇所を見抜くことができます。

計測点検

計測点検

計測点検では、目視点検の項目に加えて、免震装置の鉛直変位や水平変位の計測、建物のクリアランス計測、下げ振り装置を用いた建物位置計測を行います。計測点検によって、竣工時からの変位量を計測し、その値が管理値内に収まっているかどうかを確認します。

計測点検では、スケールやインサイドマイクロメータ、放射温度計などの機器を用いて行います。

計測点検でも、JSSIが定めている維持管理基準に基づいた内容の免震点検を行います。

報告書

報告書

目視点検や計測転電では、JSSIが定めている維持管理基準に基づいて免震点検し、点検の内容や指摘事項をまとめて報告書を作成いたします。

報告書には、免震装置の種類や配置図、指摘事項、写真などが記載されています。もし免震装置に錆があれば、どの免震装置のどこに錆があるのかを記載しています。

報告書に掲載された指摘事項は、基本的に対応や修繕を行う必要がありますが、報告書を活用してメーカーに修理の見積もり依頼をるすことができます。

なお、当社では錆のタッチアップボルトの増し締めクリアランスラバーの補修などの修理を行っておりますので、ご利用ください。

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