積層ゴムの役割は何ですか?

積層ゴムの役割は何ですか?

積層ゴムは、建物の自重を支えることと、地震の揺れを緩和させるという役割があります。

地震の揺れは、建物には高さがあるので、実際の揺れの体感は異なりますが、1/3~1/5程度になると言われています。

積層ゴムの基本構造

太鼓状に変形した免震ゴムの例

積層ゴムは、正式には「積層ゴムアイソレータ」と言われるものです。円形または角型のゴムと鋼板が交互に積層されており、その上下をフランジで挟まれている構造になっています。

ゴムと鋼板が交互に積層されている理由は、ゴムだけだと建物の自重によってゴムが太鼓状に変形してしまうためです。ゴムと鋼板が交互に入ることで、強い地震の揺れを軽減してくれる機能を保ったまま、建物の自重を支えても変形しにくくなります。


積層ゴムの種類

積層ゴムには、使用されるゴムの材質と、中心部に鉛プラグ等が入っているかによって種類が分かれます。

ゴムの材質

積層ゴムに用いられるゴムの材質は、天然ゴムと高減衰ゴムがあります。

天然ゴム製の積層ゴムは、高減衰ゴム製のものと比べて減衰力が少ないので、建物が揺れたときに元の位置への戻りが遅いため、鋼材ダンパーと組み合わせる必要があります。

高減衰ゴム製の積層ゴムは、減衰力が高いため、鋼材ダンパーが必要なくなるというメリットがあります。

高減衰ゴム製であれば、その分だけ免震点検やメンテナンスが容易になります。

鉛プラグの有無

積層ゴムの種類によっては、中心に鉛の棒が縦に封入されているものがあります。この鉛の棒のことを、 鉛プラグと呼びます。

鉛プラグが入った積層ゴムは、鉛プラグのない積層ゴムと比べて、大きな地震で建物が大きく揺れたときに、その揺れを減衰してくれる機能があります。また、強風などで建物が微細に揺れるときには、鉛プラグの剛性によって揺れを防いでくれる役割があります。

積層ゴムの機能を維持するために大切な免震点検

積層ゴムは、建物の自重を支え、地震による建物の揺れを緩和させるという役割があります。その役割を維持するためには、定期的な免震点検とメンテナンスが欠かせません。

積層ゴムの免震点検には、年に1回の頻度で行うことが推奨されている目視主体の通常点検と、5年~10年の頻度で行うことが推奨されている計測主体の定期点検があります。また、地震などで建物が大きく揺れたときには、積層ゴムに問題がないかどうかを点検する応急点検があります。

通常点検(目視点検)

通常点検では、積層ゴムのボルトの緩みや、鋼材部分の傷や発錆、ゴム部分の傷や亀裂の有無、可燃物の有無を点検いたします。

積層ゴムのボルトは手のひらサイズぐらいの大きなものです。そのようなボルトが緩むなんて信じがたいことですが、毎年通常点検を行っていても、積層ゴムの全台の中で2~3本程度緩んでいることがあります。場合によっては、手の力で簡単に回ってしまうほど緩んでいるものもあります。

積層ゴムは免震層に設置されていますが、免震層内は多湿なので、積層ゴムの鋼材部分が錆びてしまうことがあります。この錆を放置しておくと、錆が広がり、積層ゴムの機能に支障をきたす可能性もあります。

免震層内で工事をしたときに、積層ゴムの表面に誤って傷をつけてしまうことがあります。その傷を放置しておくと、地震による揺れで積層ゴムに大きな応力が加わった場合に、亀裂が広がって内部の鋼材部分が錆びてしまう恐れがあります。このように、積層ゴム表面の傷や亀裂の有無を点検することは、とても大切です。

積層ゴムは火気に弱いので、積層ゴム周辺の可燃物には注意が必要です。免震層内は落ち葉が入り込んで堆積することがあります。また、あってはならないことですが、免震層内を物置にしている建物も散見されます。

定期点検(計測点検)

定期点検では、通常点検(目視点検)での点検内容に加えて、計測点検を行います。

積層ゴムの高さや角度を計測し、基準値や過去の定期点検の値と比較して、積層ゴムの機能に問題がないかどうかを判断することができます。

積層ゴムの高さは、免震層内の温度によって若干変化します。冬であれば気温が低いのでゴムが縮み、高さが低くなります。そのため、積層ゴム表面の温度を計測し、竣工時と同一条件で高さの変化を比較検討します。

応急点検

応急点検では、大きな地震などで建物が揺れた後に、積層ゴム等に問題がないかを点検します。点検内容は通常点検と同じです。

そのときに、異常がある場合は、定期点検と同様の計測点検(詳細点検)を行います。

積層ゴムのメンテナンス

通常点検や定期点検で、積層ゴムに経年劣化による問題が発見された場合は、問題を解消するためにメンテナンスを行います。

積層ゴムによくあるメンテナンスは、ボルトを締め直す「ボルトの増し締め」と、鋼材部分の傷の補修や、発錆部分のタッチアップを行う「免震装置塗装」です。積層ゴムの表面に傷がつくことは稀ですが、傷を発見したときはメーカーによる修理対応が必要です。

当社では、積層ゴムの通常点検や定期点検、応急点検、メンテナンスを行っております。「積層ゴムの点検を行ってほしい」「積層ゴムのメンテナンスをしてもらいたい」という場合だけでなく、「積層ゴムのことを教えてもらいたい」という場合でも、お気軽にお電話ください。

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