免震点検エピソード

免震装置の布製カバーが小動物の巣に

都内の免震マンションの点検でのエピソードです。そのビルは竣工してから10年間、一度も免震点検せず、免震層内に入っての目視すらしていませんでした。マンションが竣工して10年経過していたので、「さすがに点検をした方がいいだろう」ということで、当社にて目視点検+計測点検を行うことになりました。

免震ゴムの布製カバー

免震ゴムの布製カバー(耐火被覆)

免震層内で火災が発生したという例は皆無なのですが、高い安全性を求める建物では、免震装置に念のため耐火被覆を設置することがあります。例えば、免震ゴムは、合成ゴムでできているので火に弱いという弱点があります。その弱点を克服するために、耐火被覆が巻かれることがあります。

耐火被覆には、石膏ボードや金属製のカバーといったものがありますが、このマンションでは免震ゴムにガラス繊維でできた布製カバーが設置されていました。


布製カバーが小動物の巣に

さて、10年間放置されていた免震ゴムですが、驚くことに布製カバーには小動物の糞が散乱し堆積していました。糞の大きさからすると、おそらくネズミかハクビシンだと思います。

この布製カバーは少し長めで垂れていたため、その垂れの部分の上を寝床にしていたようです。

小動物にとっては、コンクリートの上よりも布製カバーの上の方が暖かくて居心地が良いはずです。そして、免震層には外敵がいなかったので、安心して子育てができたようです。そのために、布製カバーやその周りには小動物の糞尿まみれでした。

動物の尿で免震装置が発錆

小動物が寝床としていた箇所の布製カバーをめくりあげたところ、免震ゴムのフランジ部分(金属部分)が発錆していました。動物の尿はアルカリ性ですが、塩分が含まれているので金属を錆びさせます。それによって腐食したものと思われます。

免震装置は大きな物体ですので、多少錆びても性能が損なわれることはありません。錆びた部分をタッチアップすれば済みます。しかし、今回の建物は10年も放置されたものですので、その錆が進行していました。また、10年も放置された免震装置は、メーカの保証対象外になる可能性があります。

せめて1年に1回の目視点検ぐらいは行っておきたいところです。

その後の小動物への対応

当社の仕事は、免震点検を行い管理会社に点検結果を報告することです。管理会社には、小動物の駆除や清掃を依頼しました。

布製カバーはあまり劣化するものでありませんが、糞や尿がしみ込んでいて、洗浄が難しいため交換が必要となる場合がございます。また、今後に小動物が免震層内に侵入することを防ぎ、このような問題の発生を予防する必要があります。

クリアランスの隙間

免震層内に小動物が侵入する経路の多くが、地面と建物が切れているクリアランス部です。もしクリアランス部にクリアランスラバーが設置されていないようであれば、新規でクリアランスラバーを設置する必要があります。

写真のように、クリアランスラバーが劣化するなどして破れ、その隙間から小動物が侵入しているようであれば、クリアランスラバーの補修や交換を行います。

当社では免震点検だけでなく、免震層内の清掃やクリアランスラバーの設置/補修などもワンストップで行っています。ご要望のさいは、当社までお気軽にご相談ください。

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