免震点検で現場の建物に行くと、建物の外周には木々が植わり一部が公園のようになっているところもあります。木々には小鳥たちとの出会いがあったりもします。
ところが、免震層内でも小動物に出くわすことがあります。今日のエピソードは、免震点検で出くわした小動物のお話をいたします。
よくある免震建物は地下に免震装置が設置されることが多いですが、免震建物には途中の階に免震装置が設置されたものもあります。そのような途中階の免震のことを「中間階免震」と言います。この中間階免震でよく出会う動物がハトとスズメです。
中間階免震の壁は、下層階と上層階で切れているので、その切れ目から鳥が侵入します。鳥たちにとって中間階免震層内は、外敵から身を守れて、雨風がしのげる楽園です。
ハトの巣窟になっている免震層では、免震層内の清掃を怠っていると、あちこちでハトの糞が堆積していることもあります。そのような免震層内は悪臭もすごいです。
免震点検では、ハトの糞は可燃物として報告いたしますが、悪臭は報告の対象にはなりません。しかし、免震層の壁の隙間から漏れ出した悪臭が上層階にある居住区の窓に到達して、異臭問題になることもあるかもしれません。
できれば、免震層の隙間に網を張ったり、クリアランスラバーを設置したりして、鳥の侵入を防いでもらいたいものです。もちろん、ネットを張るときには、網にクリアランスの余長を持たせることをお忘れなく。
地下の免震層内で出会う小動物として、ときどきあるのが猫とネズミ、ハクビシンです。
鳥であれば免震層内に入ったとしても飛んで出ていくことができますが、小動物は免震層から出られなくなっていることが多いので、死骸で発見されることがよくあります。
とある都内のマンションにて免震点検のご依頼で訪問したときのことです。免震層の奥の暗闇から「ニャーニャー」と鳴き声がしました。免震層に生きた猫がいたことは初めてでした。
このまま放置して免震層の入り口を締めてしまうと、免震層内では餌や水がありませんので、やがて猫は息絶えることでしょう。
猫がかわいそうだったので何とか免震層の外に出してあげようと努力しましたが、猫はすばしっこく逃げ回り、捕まえることができずに諦めました。とりあえず建物の管理者様に「猫がいるので捕まえ、外に出してください」と依頼しました。
小動物が免震層へ侵入する場所の多くが、地面型と建物側の壁が切れているクリアランス部分です。そのクリアランス部分が膝ぐらいの低い位置にあれば、免震層内に侵入した小動物はたやすく出ていくことは可能でしょう。しかし、たいていのクリアランス部分は目線の高さ以上にあります。物件によっては、免震層内にタラップで降りるような高さのものもあります。
そのような免震層に侵入した小動物は、免震層から出られなくなり、その中で死んでしまいます。免震層内の動物の死骸は「可燃物の堆積」として建物の管理者に報告いたしますが、やはり誰かが撤去をする必要があります。
冬は、免震層内は外と比べたら暖かいので、冬の間にネズミが侵入し、電線をかじってしまうこともあります。ネズミの侵入があれば、侵入経路を塞ぐことが大切です。
小動物の侵入経路は、その多くがクリアランス部分です。クリアランスの隙間を埋める「クリアランスラバー」が設置されていなかったり、クリアランスラバーが損傷していたりして、小動物が侵入します。
免震層内全体の洗浄のご要望や、クリアランスラバーの設置/補修があれば、別途お見積りになりますが承っておりますので、当社までご相談ください。
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