免震建物の通常点検

免震装置や免震建物は定期的に点検を行うことで、その機能を維持することができます。一般社団法人免震構造協会では、免震装置の点検基準を定めており、年1回以上の通常点検や、5年目や10年毎の定期点検を推奨しています。

通常点検(目視点検)とは

通常点検とは、1年に1回定期的に行う目視主体の点検のことです。定期点検の計測主体の点検とは異なり、目視や触診によって免震装置の劣化や破損などを発見します。

そのため、別名として「目視点検」とも呼びます。

年次点検内容
竣工前竣工検査の免震点検(計測点検)
1年後通常点検(目視点検)
2年後通常点検(目視点検)
3年後通常点検(目視点検)
4年後通常点検(目視点検)
5年後定期点検(計測点検)
6年後通常点検(目視点検)
7年後通常点検(目視点検)
8年後通常点検(目視点検)
9年後通常点検(目視点検)
10年後定期点検(計測点検)
11年後通常点検(目視点検)
12年後通常点検(目視点検)
13年後通常点検(目視点検)
14年後通常点検(目視点検)
15年後通常点検(目視点検)
16年後通常点検(目視点検)
17年後通常点検(目視点検)
18年後通常点検(目視点検)
19年後通常点検(目視点検)
20年後定期点検(計測点検)
21年後以降繰り返し

通常点検の内容

通常点検の内容は次の通りです。

  • 免震装置外観検査(目視・触診)
  • 設備配管・電気配線状況確認
  • 建物外周部・免震層内周辺状況確認

通常点検の例

積層ゴム

  • ゴムの傷や損傷の確認
  • ボルトに緩みがないかの触診
  • フランジなどの鋼材部の塗装にヒビや剥がれがないか、発錆がないかの確認
  • 周辺に可燃物の堆積がないかの確認

積層ゴムの傷は、何もなければ発生しにくいかと思われますが、免震層で作業をしていた人が誤って傷をつけてしまったり、大きな地震があって積層ゴムにダメージが加わったりしてできることがあります。

積層ゴムを固定しているボルトは手のひらサイズほどもある大きなものですが、このボルトが手で回すことができるぐらいに緩んでいることがあります。ボルトはトルク管理されているため、触診で緩みがないかどうかを確認して増し締めするのではなく、定期的に増し締めすることをお勧めいたします。

フランジなどの鋼材部の塗装の剥がれは、露出した金属部分が錆びてしまう恐れがあります。塗装のヒビや剥がれが見つかった場合は、錆が発生するまえにタッチアップ(塗装修理)することをお勧めいたします。

ゴムの一番の大敵は火です。可燃物の堆積は、構造物を支えるゴムにとっては致命的なダメージを受ける原因になります。

免震オイルダンパー

  • ボルトに緩みがないかの触診
  • オイル漏れがないか
  • ダンパー本体や鋼材部の塗装にヒビや剥がれがないか、発錆がないかの確認
  • ロッドカバー(ブーツ)の劣化の確認

免震オイルダンパーのボルトは緩むことはめったにありませんが、手で回るぐらいに緩んでいる場合は、速やかに増し締めすることをお勧めいたします。

免震オイルダンバーの中にはオイルが充填されています。そのオイルがポタポタと漏れていることがごく稀にあります。その場合は、念のため免震オイルダンパーのメーカーに点検を依頼します。

ダンパー本体や鋼材部の塗装の剥がれは、露出した金属部分が錆びてしまう恐れがあります。積層ゴムと同様に、塗装のヒビや剥がれが見つかった場合は、錆が発生するまえにタッチアップ(塗装修理)することをお勧めいたします。

ダンパーのシリンダーから飛び出したロッドは、ロッドカバー(ブーツ)に覆われています。ロッドカバーが損傷している場合も指摘事項としてご報告いたします。

免震装置の点検、補修等に関するお問い合わせやご相談、ご依頼等は、
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03-3356-1107
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