千葉市に建てられている免震建物にて、どの周期でどのような点検が必要なのかをまとめました。千葉市の特定建築物の定期報告には、免震点検が含まれていませんが、特定建築物の規模や用途によって、免震点検の実施は求められています。
千葉市にある免震建物は、主にマンションや病院に多いですが、倉庫や複合施設でも免震装置を導入しているところが増えています。
千葉市で定期報告が必要な特定建築物は、構造物の用途と規模で決まります。詳細は千葉市のPDFをご覧ください。
マンションでは、サービス付き高齢者向け住宅や優良老人ホームなどの特殊な用途の場合で、一定以上の規模のある建物が該当します。一般的な住宅用の免震マンションは、特定建築物に該当しません。
千葉市のホームページによると、特定建築物の構造物等の中で、定期報告の義務があるものは次の4点です。
免震装置は「1.建築物」に該当します。ですので、免震点検の結果も、定期報告の義務があります。
千葉市の定期報告対象特定建築物一覧表によると、免震点検は定期報告に含まれていませんが、国土交通省告示第282号には免震装置が含まれているので、定期的に免震点検を行って報告する義務があります。
特定建築物において免震点検が行える人は、誰でも良いわけではありません。千葉市のホームページで確認したところ、免震点検は次のいずれかの資格を有する者が行うこととなっています。
ただし、免震建物が特定建築物でない場合は、定期報告の義務がございませんので、免震点検技術が点検すればよいと言えます。
ここで、問題となりやすいことは、一級建築士や二級建築士は建築の専門家ではありますが、免震点検の専門家ではないということです。そのことがわかる事例として、一級建築士の人が免震点検を行っていた免震病院のエピソードをご覧ください。
千葉市における定期報告の周期は、建物の種類によって2年毎か3年毎です。
また、「どれどれの種類の特定建築物は、この年のこの月に定期報告を行う」という具合に、特定建築物の種類によって報告年月が決まっています。そのため、竣工したタイミングによっては、翌年に定期報告をしなければならない場合もあります。
そのタイミングは、定期報告対象特定建築物一覧表の「報告時期」の欄に記載されています。
報告の周期と時期を大まかに述べると、次のようになります。
病院・高齢者向け住宅など | 令和4年5月1日から末日までの間(2年ごと) |
博物館・学校など | 令和5年8月1日から末日までの間(3年ごと) |
百貨店など | 令和5年10月1日から末日までの間(2年ごと) |
もし、調査および検査の通知が送付されても定期報告をしない場合や虚偽の報告をした場合は、建築基準法の規定により100万円以下の罰金が科せられます。
では、特定建築物でない免震マンションや免震病院は、免震点検をしなくても良いのか?
国土交通省告示告示に、免震装置の調査について記載されています。それによると、免震装置の劣化状況と可動性の点検を3年以内に行うことになっています。
この点検は、報告の義務はなく「確認する」ということになっています。ここで、「報告義務はないので、点検の必要性はどうなのか」という疑問が出てきます。
建築基準法第8条に「建物を健全に維持しなければならない」という内容にも関わってきますので、免震装置を健全に維持する必要があるので、免震点検は定期的に行うべきですので、3年に1回以上の点検を推奨します。
1. 建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。
2.第12条第1項に規定する建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するため、必要に応じ、その建築物の維持保全に関する準則又は計画を作成し、その他適切な措置を講じなければならない。この場合において、国土交通大臣は、当該準則又は計画の作成に関し必要な指針を定めることができる。
特定建築物やそうでない免震建物における免震点検の内容はどういったものか、述べたいと思います。
国土交通省告示第282号によると、免震装置の点検は、目視で錆・腐食やクリアランスを確認は基本的に毎年行うことになっています。例外として、3年以内に実施した点検記録がある場合は、その記録を確認すれば良いと定められています。ただし、次のような指摘事項があった場合には、翌年も点検が推奨されています。
建築基準法第8条に「建物を健全に維持しなければならない」ということから、一般社団法人日本免震構造協会(JSSI)が定める免震建物の維持管理基準に従って免震点検を実施することが臨まれます。
上記の目視点検はもちろんのこと、例えば、ボルトの緩みの点検や計測点検なども行ないます。
では、国土交通省告示第282号に従って点検を行っていたら、それで良いのでしょうか。次に、一般社団法人日本免震構造協会(JSSI)基準に基づいた免震点検について、ご説明いたします。
JSSIでは、免震装置の維持管理の基準として、免震建物維持管理基準というものを作成しています。
免震建物維持管理基準には、免震点検の方法が詳細に記載されており、免震点検技術者の資格を有するものは、この基準に従って点検を行っています。
点検の種類には、竣工時検査、通常点検、定期点検、応急点検などがあります。JSSI基準では、目視を行う通常点検の周期は毎年、計測を伴う定期点検は竣工後から5年、10年、それ以降は10年毎で行うことが推奨されています。
さらには、建物を設計したときに、作成される特記仕様書というものがあります。ここに免震装置の維持管理のことが書かれている場合があります。
もし書かれている場合、その内容はJSSIが定める基準に従っていることが多いため、通常点検は毎年、定期点検は5年や毎10年に行うことと定められていることが多いです。
では、この特記仕様書に記載された点検は、法律で定められたような義務なのでしょうか、それとも推奨なのでしょうか?
建築基準法第8条によると、建築物の適切な維持管理が求められていることは、先ほど述べた通りです。この「適切」とは、何をもって適切なのでしょうか?
それは、特記仕様書に書かれている点検をすることによって、「適切に維持管理できている」と言えます。ですので、通常点検を毎年行うことや、定期点検を竣工から5年後や10年後に行うことは、法律で定められたことだと言えます。
千葉市における、免震点検の周期をまとめました。
2022年に千葉市に建った特定建築物の免震点検の定期報告は次の表のとおりです。
2023 | 2024 | 2025 | 2026 | 2027 | 2028 | 2029 | 2030 | 2031 | 2032 | |
病院・高齢者向け住宅など | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
博物館・学校など | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
百貨店など | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
国土交通省告示第282号による、2022年に千葉市に建った免震点検のタイミングは次の通りです。特定建築物でない建物の場合は、次の表にあるタイミングで免震点検を行う必要があります。
2023 | 2024 | 2025 | 2026 | 2027 | 2028 | 2029 | 2030 | 2031 | 2032 |
〇 | 〇 | 〇 |
では、どのような点検を行うべきなのかですが、JSSIが推奨する2022年に建った免震建物の点検の種類とタイミングは次の通りです。
2023 | 2024 | 2025 | 2026 | 2027 | 2028 | 2029 | 2030 | 2031 | 2032 |
通常点検 | 通常点検 | 通常点検 | 通常点検 | 定期点検 | 通常点検 | 通常点検 | 通常点検 | 通常点検 | 定期点検 |
この他にも、免震建物の特記仕様書に、免震点検のタイミングが記載されている場合もあります。
このように、免震点検の通常点検と定期点検のサイクルは、千葉市が定める報告のタイミング、国土交通省告示第282号の点検周期、JSSIもしくは特記仕様書の周期を考慮して、いつにどのような免震点検を行うかを決める必要があります。
当社では、このサイクルをどのように設定すべきなのかについてのご相談を承っております。お気軽にお電話ください。
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