免震点検いろは

神奈川県にある特定建築物の免震点検の必要性

神奈川県に建てられている免震建物にて、どの周期でどのような点検が必要なのかをまとめました。点検の周期は、免震建物が特定建築物に該当するものか、そうでないか、また神奈川県所管区域に建っているのかによって異なります。

神奈川県の特定建築物の定期報告

神奈川県所管区域以外の12市について

神奈川県に建っている建物が特定建築物に該当するものかどうかは、神奈川県の規定によって定められています。例外として、次の市は神奈川県の所管区域に該当しない市ですので、各市の自治体でそれぞれ定めています。

横浜市、川崎市、相模原市、横須賀市、藤沢市、鎌倉市、厚木市、平塚市、小田原市、秦野市、茅ケ崎市、大和市

これらの市では、特定建築物に該当するかどうかの基準が、神奈川県が指定するものと異なる可能性があります。

以下、神奈川県所管区域の免震建物について、点検のタイミングと点検内容についてご案内いたします。

なお、この内容は記事を書いている今現在のものですので、詳細は神奈川県のホームページをご確認ください。

神奈川県で特定建築物に該当する建物

免震建物は、主にマンションや病院に多いです。特定建築物に該当するマンションは、サービス付き高齢者向け住宅のみです。特定建築物に該当する病院は、患者の収容施設があるものです。

それ以外のマンションや病院は、特定建築物に該当しません。

定期報告義務のあるもの

特定建築物の構造物等の中で、定期報告の義務があるものは次の3点です。

1.建築物

2.建築設備・防火設備

3.昇降機工作物

免震装置は「1.建築物」に該当します。ですので、免震点検の結果も、定期報告の義務があります。

免震点検できる資格者

免震点検が行える人は、誰でも良いわけではありません。神奈川県に確認したところ、免震点検は次のいずれかの資格を有する者が行うこととなっています。

  • 一級建築士
  • 二級建築士
  • 特定建築物調査員資格者証の交付を受けている者

ただし、免震建物が特定建築物でない場合は、定期報告の義務がございませんので、免震点検技術が点検すればよいと言えます。

ここで、問題となりやすいことは、一級建築士や二級建築士は建築の専門家ではありますが、免震点検の専門家ではないということです。そのことがわかる事例として、一級建築士の人が免震点検を行っていた免震病院のエピソードをご覧ください。

特定建築物の定期報告周期

特定建築物は、毎年の報告義務があります。なお、「1.建築物」においては、「建築物の維持保全が適切に行われているものについては次回の建築物の定期報告は2年以内で県が指定する月になる。」とされています。免震点検は、その指定月から3か月前以降に行う必要があります。

要するに、免震装置の維持保全が適切に行われていたら、報告は実質2年周期となります。ただし、点検によって保全の必要性が認められた場合は、次の年も免震点検を行って報告する必要があります。

2年毎の免震点検の結果に応じて、次の年も免震点検を行なわなければならないかのジャッジが行なわれることになります。

定期報告をしなかったり虚偽の報告をした場合の罰則

もし、調査および検査の通知が送付されても定期報告をしない場合や虚偽の報告をした場合は、建築基準法の規定により100万円以下の罰金が科せられるようです。

特定建築物でない免震建物の点検は?

では、特定建築物でない免震マンションや免震病院は、免震点検をしなくても良いのか?

国土交通省告示第282号に、免震装置の調査について記載されています。それによると、免震装置の劣化状況と可動性の点検を3年以内に行うことになっています。

この点検は、報告の義務はなく「確認する」ということになっています。ここで、「報告義務はないので、点検の必要性はどうなのか」という疑問が出てきます。

建築基準法第8条に「建物を健全に維持しなければならない」という内容にも関わってきますので、免震装置を健全に維持する必要があるので、免震点検は定期的に行うべきですので、3年に1回以上の点検を推奨します。

建築基準法第8条(維持保全)

1. 建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。

2.第12条第1項に規定する建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するため、必要に応じ、その建築物の維持保全に関する準則又は計画を作成し、その他適切な措置を講じなければならない。この場合において、国土交通大臣は、当該準則又は計画の作成に関し必要な指針を定めることができる。

免震点検の内容

特定建築物やそうでない免震建物における免震点検の内容はどういったものか、述べたいと思います。

国土交通省告示第282号に基づいた免震点検

国土交通省告示第282号によると、免震装置の点検は、目視で錆・腐食やクリアランスを確認は基本的に毎年行うことになっています。例外として、3年以内に実施した点検記録がある場合は、その記録を確認すれば良いと定められています。ただし、次のような指摘事項があった場合には、翌年も点検が推奨されています。

  • 点検の結果、鋼材部分に著しい錆、腐食等があること。
  • 上部構造の水平移動に支障がある状態となっていたり、障害物があること。

建築基準法第8条に「建物を健全に維持しなければならない」ということから、一般社団法人日本免震構造協会(JSSI)が定める免震建物の維持管理基準に従って免震点検を実施することが臨まれます。

上記の目視点検はもちろんのこと、例えば、ボルトの緩みの点検や計測点検なども行ないます。

一般社団法人日本免震構造協会(JSSI)基準に基づいた免震点検

では、国土交通省告示第282号に従って点検を行っていたら、それで良いのでしょうか。次に、一般社団法人日本免震構造協会(JSSI)基準に基づいた免震点検について、ご説明いたします。

JSSIでは、免震装置の維持管理の基準として、免震建物維持管理基準というものを作成しています。

免震建物維持管理基準には、免震点検の方法が詳細に記載されており、免震点検技術者の資格を有するものは、この基準に従って点検を行っています。

点検の種類には、竣工時検査、通常点検、定期点検、応急点検などがあります。JSSI基準では、目視を行う通常点検の周期は毎年、計測を伴う定期点検は竣工後から5年、10年、それ以降は10年毎で行うことが推奨されています。

特記仕様書に基づいた免震点検

さらには、建物を設計したときに、作成される特記仕様書というものがあります。ここに免震装置の維持管理のことが書かれている場合があります。

もし書かれている場合、その内容はJSSIが定める基準に従っていることが多いため、通常点検は毎年、定期点検は5年や毎10年に行うことと定められていることが多いです。

では、この特記仕様書に記載された点検は、法律で定められたような義務なのでしょうか、それとも推奨なのでしょうか?

建築基準法第8条によると、建築物の適切な維持管理が求められていることは、先ほど述べた通りです。この「適切」とは、何をもって適切なのでしょうか?

それは、特記仕様書に書かれている点検をすることによって、「適切に維持管理できている」と言えます。ですので、通常点検を毎年行うことや、定期点検を竣工から5年後や10年後に行うことは、法律で定められたことだと言えます。

免震点検の周期まとめ

先ほど述べた、12市以外の神奈川県の所管区域に該当する市町村における、免震点検の周期をまとめました。

神奈川県の特定建築物の定期報告のタイミング

2022年に神奈川県の所管区域に建った特定建築物の免震点検の定期報告は次の表のとおりです。

神奈川県基準の特定建築物の定期報告のタイミング
2023202420252026202720282029203020312032
     

※ただし、通常点検で指摘事項があった場合には、翌年も点検することが推奨されている。

国土交通省告示第282号による免震点検のタイミング

国土交通省告示第282号による、2022年に神奈川県の所管区域に建った免震点検のタイミングは次の通りです。特定建築物でない建物の場合は、次の表にあるタイミングで免震点検を行う必要があります。

国土交通省告示第282号による免震点検タイミング
2023202420252026202720282029203020312032
       

JSSIが推奨する免震点検の種類とタイミング

では、どのような点検を行うべきなのかですが、JSSIが推奨する2022年に建った免震建物の点検の種類とタイミングは次の通りです。

JSSIが推奨する免震点検の種類とタイミング
2023202420252026202720282029203020312032
通常点検通常点検通常点検通常点検定期点検通常点検通常点検通常点検通常点検定期点検

この他にも、免震建物の特記仕様書に、免震点検のタイミングが記載されている場合もあります。

このように、免震点検の通常点検と定期点検のサイクルは、神奈川県が定める報告のタイミング、国土交通省告示第282号の点検周期、JSSIもしくは特記仕様書の周期を考慮して、いつにどのような免震点検を行うかを決める必要があります。

当社では、このサイクルをどのように設定すべきなのかについてのご相談を承っております。お気軽にお電話ください。

神奈川県の免震装置の点検のことや、報告義務のことでお悩みなら、マテリアルリサーチまでご相談ください。

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