免震点検いろは

免震エキスパンションジョイントの点検内容

免震エキスパンションジョイントの点検は、免震建物の維持管理基準や免震エキスパンションジョイントガイドラインに従って行います。維持管理基準や免震エキスパンションジョイントガイドラインなどに、「免震Exp.J」という名称が出てきますが、これが免震エキスパンションジョイントのことです。

この記事では、免震エキスパンションジョイントの点検内容についてまとめました。

動いたときの障害物の有無

免震エキスパンションジョイントは、地震が発生したときに動くように設計されています。免震エキスパンションジョイントの構造によっては、大きな地震の揺れが発生したときに、板が跳ね上がることがあります。

板が跳ね上がったときに、そこに障害物があったら、障害物に当たって破損する恐れがあります。

免震エキスパンションジョイントは、人や自動車が通過する場所にあるため、破損した板の上を移動すると、二次災害の恐れも出てきます。

そこで、免震エキスパンションジョイントの点検で、まっさきに行うことが、障害物の有無です。よくある障害物としては、花壇、外灯、駐輪場の自転車、駐輪場の屋根のポールです。

どれぐらいの距離まで離れた位置なら、障害物があっても良いかということですが、それは免震エキスパンションジョイントの可動領域ではなく、免震建物の管理値に準じます。

仮に、免震エキスパンションジョイントの可動領域が60cmだったとしても、管理値が50cmだったら、免震エキスパンションジョイントの端から50cm以内の場所に障害物があったら指摘事項となります。

隙間の有無

免震エキスパンションジョイントの可動部は、わずかに隙間があります。この隙間が広がっていたら、子どもが隙間で怪我をしたり、ハイヒールを履いた人がその隙間に足を取られて怪我をしたりする恐れがあります。

そのため、免震エキスパンションジョイントの点検では、2番目に隙間の有無を確認します。

免震エキスパンションジョイントの隙間は、正常に動作する状態であれば隙間ができることはありません。大きな地震が発生した後に、免震エキスパンションジョイントが損傷し、隙間ができることがあります。

コーキングの有無

免震エキスパンションジョイントには、わずかに隙間があることを述べました。竣工直後や免震エキスパンションジョイントの工事を行った直後の免震建物では、「隙間があると見栄えが悪い」ということで、その隙間にコーキングをすることがあります。

可動する板の隙間にコーキングを入れることは、免震エキスパンションジョイントの動作を阻害する可能性があります。

がたつきの有無

免震エキスパンションジョイントの点検では、最後にがたつきの有無を確認します。正常に取り付けられた免震エキスパンションジョイントは、がたつきは無いはずです。

地震が発生して動作しているうちに、ジョイントにガタが来た場合に、がたつきが発生してしまうことがあります。

がたつきのある免震エキスパンションジョイントをそのまま放置していては危険です。もし、免震エキスパンションジョイントが壊れて、板が落ちてしまったら、そこに溝が現れます。

免震エキスパンジョンジョイントは、人が通過する場所ですので、そこで足をひっかける人が出てくる可能性があります。

破損の有無

人が通過する場所に設置され、跳ね上がるタイプの免震エキスパンションジョイントは、板が跳ね上がったときに、人の足にそのまま当たると危険なので、折り曲がるものがあります。

また、障害物の有無でもご紹介したように、免震エキスパンションジョイントが跳ね上がり、板が障害物と接触して破損してしまうことがあります。

折り曲がるタイプのエキスパンションジョイントが障害物と接触して破損し、元の位置に戻ってきたときに、免震エキスパンションジョイントが元の状態に戻らず、隙間が開いてしまうことがあります。

特に、大地震が発生した後に行う応急点検では、免震エキスパンションジョイントの破損の有無を入念に行います。

免震クリアランスの点検

免震点検では、目視点検と計測点検があります。目視点検では、免震クリアランス内に物が置かれていないかを点検します。また、計測点検では、免震クリアランスのチェックを行います。それは、免震エキスパンションジョイントには金物があり、免震側と非免震側の距離をスケールで計測し、今回計測した値が前回の計測値から変化がないかをチェックする点検です。

もし、前回の値と今回の値に変化がある場合には、もしかしたら免震エキスパンションジョイントにも影響がある可能性があります。その場合は、免震エキスパンションジョイントを詳細に点検する必要が出てきます。

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