免震点検エピソード

地下の免震層がロッカールームになっていた事例

千葉県にある免震オフィスビルでのエピソードです。オフィスビルが竣工してから1年目で、通常点検(目視点検)のご依頼をいただきました。

免震層へは階段で降りるタイプで、防火扉を開いて免震層内に入ろうとしたら、守衛さんといっしょに降りていったのですが、鍵が締まっていませんでした。

免震層がロッカールームになっていた

免震層には、部屋の入口付近を照らす電灯が設置されていたので、点灯させてビックリしました。なんと、電灯で明るくなる場所がロッカールームになっていたのです。

守衛さんに話を聞くと、このオフィスビルには、ビル清掃のスタッフに更衣室がないので、免震層をロッカールームとして使用しているとのことでした。

しかもそのロッカーは、コンクリートの梁と背中合わせに立てられていました。大きな地震が発生したらロッカーが押し倒されてしまうことでしょう。

まだ、ロッカーが押し倒されるだけでは、問題は小さいかもしれません。

休憩室としての利用

ビルの清掃スタッフは、休憩時間にはそこでお茶を飲んで、くつろぐためのテーブルやパイプ椅子が置いてありました。

とりあえず消火器は置いてありましたが、その場所でたばこを吸っている形跡もありました。

ロッカーは固定されていませんので、地震が来たら押し倒されるはずです。もし、そこで休憩をしていたら、ロッカーに挟まれて怪我をして、免震層から脱出できない可能性もあります。

極めつけが石油ストーブの存在

そこまでは、「撤去してください」とまでしか言えませんし、建物所有者のコンプライアンスの問題です。しかし、石油ストーブの存在は無視できませんでした。

免震層内は冷暖房施設がありません。夏であれば涼しく過ごすことができると思います。冬は吹き曝しではないので、ある程度の寒さはしのげるかもしれませんが、休憩で過ごすには寒すぎます。そこで、石油ストーブを持ち込まれたのでしょう。

免震装置には、積層ゴムのように火気に弱い装置があります。そのため、免震層内では可燃物の堆積は、免震点検での指摘事項になります。

では、なぜ石油ストーブは、免震層内に持ち込んではいけないのでしょうか?

良識のある方では、もうお分かりのことでしょう。地震があり、石油ストーブが倒れて、免震層内で火災が発生し、その火が建物を支えている積層ゴムに燃え移り、重大な事故につながる恐れがあります。

事故発生時に大きな社会問題になる可能性

数年前、埼玉県の倉庫で火事があり、防火シャッターのところに荷物が置いてあって、防火シャッターが閉まらなかったというニュースを見たことがあります。

防火シャッターのところには、荷物を置いてはいけないことは、言うまでもありません。しかし、消防検査のときにだけ荷物を撤去し、検査が終了したら元に戻してしまうという、問題意識の低い建物も少なくありません。

免震層内の可燃物の有無についても同様です。事故が発生してからでは遅い場合があります。

当社は、第三者機関として免震点検を実施しています。免震点検での指摘事項については、改善を実施していただくことを強く推奨いたします。

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