免震点検エピソード

免震層が書類倉庫になっていた事例

神奈川県にある商業施設で、免震層に書類のダンボールが山積みになっていたエピソードのご紹介です。この建物は、特定建築物に指定されていたため、定期的に免震点検を実施し、行政に報告する義務がありました。

その定期点検(計測点検)に、当社にご依頼をいただきました。

免震層内にダンボール箱が山積みに

設備担当者様に連れられて地下の階段を降り、免震層の入り口の鍵を開いて中に入りました。扉を開いたときに入り込んだ明かりで、免震層内が照らされるのですが、そのときに、山積みされたダンボールを発見。

すぐさま、設備担当者様に指摘事項を申し渡しました。設備担当者様は、建物に保管するとスペースがもったいないので、免震層内に書類のダンボールを置いたようです。

免震層内の環境点検の内容

免震点検の内容のひとつに、免震層内の環境の点検があります。これは主に、免震層内に可燃物の堆積していないかどうかの点検を行います。

通常であれば、落ち葉やゴミが免震層内に侵入して、それが堆積していたら「可燃物」として指摘します。

免震層内に書類のダンボールが山積みされていたら、それはコンプライアンスの問題となります。

なぜ免震層内に可燃物はいけないのか?

免震層内は、コンクリートの床と壁があり、場合によっては広い空間になっていることもあります。免震層の隙間にクリアランスラバーが設置されていて、地下の湧水がなければ、免震層内は湿気が少なく、荷物の置き場所としては最適かもしれません。

免震層内には免震装置が設置されていますが、免震装置の中でも積層ゴムは、材質がゴムですので、火気に弱いという弱点があります。

もし免震層内で火災が発生し、積層ゴムに燃え移ったら、どういったことが起こることが予想されるでしょうか?

積層ゴムは、地面側と建物側を隔てるアイソレータの一種です。そして、建物の重量を支えています。積層ゴムが燃えたら、性能に影響をおよぼし、大事故につながる恐れがあります。

そのため、免震層内の点検で可燃物の堆積をチェックし、可燃物があればそれを指摘事項としてご報告しています。

もし、免震層内を荷物置場として利用している方がいらっしゃいましたら、すぐさま荷物を移動させるようにしてください。

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