免震点検エピソード

配管のクリアランスの大切さ

都内のあるマンションの免震点検をご依頼いただきました。そのマンションは、竣工してから10年程度経過しており、初めての免震点検でした。

免震点検では、さまざまな点検項目の中に「クリアランス確保」というものがあります。地震で建物が大きく揺れたときに、配管や壁の隙間が足りずにぶつかって壊れてしまうことを防ぐために、隙間に余裕があります。その隙間の余裕のことをクリアランスといいます。

クリアランス不足は太いガス管!

免震点検で、ライフラインのクリアランス不足を発見しました。そのライフラインは、なんと「太いガス管」でした。

この写真は、免震層にあるガス管の例です。このようにガス管は緑またはベージュであることが多いです。この写真は本物件のガス管ではありませんが、ガス管の途中に継手(フランジ)があります。

ガス管自体はクリアランスがきちんと取られていたのですが、建物とフランジの隙間が20cmしかありませんでした。

大きな地震があったら、建物が20cmぐらい動くことはよくあります。

もし地震が発生して、建物が20cm以上動いてしまったら、フランジ部分が建物に当たってしまい、ガス管が損傷してガス漏れ事故につながる恐れがあります。

当社としては、点検専門会社としての中立な立場ですので、ガス管の指摘事項を正直にご報告いたしました。

このクリアランス不足が、給排水管でしたらまだ問題は小さいことでしょう。今回はガス管の指摘ですので、大事故につながる恐れがあり、早急なる是正が必要な事案です。

建物が竣工してから10年経過しているので、修理費は建物のオーナーが負担する可能性が高いです。マンションですので、おそらく修繕積立金から負担することになるでしょう。

ご依頼は管理会社様でしたので、管理会社様は理事会でどのように報告すべきかとても苦心されていました。

配管は竣工後に追加されることも

免震点検は竣工点検だけで良いと思っていたらそうではありません。竣工後に配管が追加されることがよくあります。特にデータセンターや研究棟などの施設では、本当によくあります。

また、その追加された配管によるクリアランス不足も、本当によくあります。

建物の免震点検は、点検費用がかかりますが、大事故から自分の命を守ることにつながります。建物を建設している途中での中間検査や、引き渡し前の竣工検査だけでなく、一般社団法人日本免震構造協会が推奨する定期的な免震点検を実施することをおすすめいたします。

この記事は、お役に立ちましたか?


トップへ