免震点検エピソード

竣工検査前での免震点検のすすめ

免震建物の点検は、建物が竣工した後に行うだけでなく、竣工検査時に行ったり、その前に行ったりすることもあります。竣工検査やその前に免震点検を行うことの大切さを、2種類のエピソードを通じてお伝えいたします。

たくさんのボルトが緩んでいた免震建物

竣工してから3年目の小さな免震マンションでのエピソードです。免震装置はたくさんのボルトで止められていますが、そのボルトの多くが緩んでいた現場がありました。

後日、免震装置のボルトの増し締めを全基に対して行ったのですが、すべてのボルトが緩んでいたことが判明しました。事情を調べてもらうと、竣工検査のときにボルトを増し締めし忘れていたそうです。また、竣工検査のときに免震点検は行われていなかったそうです。

通常、免震建物を建てるときに、免震層の基礎が出来上がったらそこに免震装置を設置し、構造物を打設します。そのときに、免震装置のボルトは仮止めされた状態です。建物が完成し、竣工検査の前にボルトを増し締めします。

もし、竣工検査のときに免震点検を行っていたら、ボルトの増し締めをし忘れていたことは発見されていたはずです。

たまたま3年間に大きな地震がなく建築会社に責任が問われることは無かったそうですが、怖い話です。

竣工検査でクリアランス不足を発見

次にご紹介するのは、都内の免震ビルで、竣工検査での免震点検を行ったときのエピソードです。

竣工検査でミスが発見されたら、すぐさま修繕を行って、引き渡しまでに完了させる必要があります。ところが、その建物では梁と多くの配管のクリアランス(隙間)が不足していたため、引き渡しまでに配管をやり直す必要がありました。

地震で揺れる側と建物側には、免震クリアランスとして、設計者が定めたクリアランス管理値の隙間(通常50~70cm)を設ける必要があります。

この免震建物では、免震層の壁から出ているほとんどの配管が、図のように矩形になっていて、構造物と当たるような設計になっていました。是正工事では、配管を斜めにして対応されていました。

建物側の梁と地面に設置された配管の隙間がクリアランス不足でした。

竣工検査での免震点検でたくさんの不具合が見つかったときは、その報告書をまとめるのに時間がかかってしまい、修繕が竣工に間に合わなくなってしまうこともあります。また、写真のように、配管のやり直しではなく出っ張った梁を削ることをしたところもあります。

このように、是正工事に時間がかかり、工事完了が竣工に間に合わないケースがあります。

竣工検査前に免震点検を

これらのエピソードのように、免震建物が竣工するときには免震点検をすることが大切ですが、竣工検査の前にも免震点検を実施しておいた方が良いです。例えば、竣工検査の1カ月前などです。

そうすることで、竣工検査で不具合が発見されるよりも、余裕をもって不具合を修繕することができます。

当社にておすすめする、竣工前における免震点検のタイミングは、次の3回です。

  • 建物の躯体が完成したタイミングでクリアランス点検
  • 免震層内の設備配管工事や電気配線工事が完了した時点でクリアランス・余長点検
  • 是正工事完了後の確認点検

竣工検査よりも事前に免震点検を行い、余裕をもって竣工を迎えることをおすすめいたします。

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