免震建物は、建物側(免震側)と地面側(地球側)に分かれています。地震が発生すると地面側は大きく揺れますが、建物側は免震装置によって建物の揺れが抑制されます。そのとき、建物側の上部構造と地面側の基礎部が、地震の揺れに合わせて接近したり離れたりします。そのときに、隙間に間隔がないとぶつかってしまいます。この間隔のことを「免震クリアランス」と呼んでいます。
免震クリアランスは、建物の設計者によって決められ、建物の用途や構造によって異なります。建物によって500~600mm程度に設定されています。通常であれば、震度5弱程度の地震で片振幅20mm程度動きますが、東日本大震災や熊本地震などの大きな地震が発生したときには、400mm程度動いた免震建物があったと言われています。
免震クリアランスは、竣工時にも見逃されていることが、本当に多くあります。とある物件では、太いガス管の免震クリアランス不足を発見したこともありました。大地震が発生したら太いガス管に動いた建物がぶつかる恐れがありました。
免震クリアランス計測は、竣工した建物の定期点検だけでなく、工事中の中間検査や竣工検査でも実施されることを、強くおすすめいたします。
免震クリアランス計測は、定期点検等にて行います。スケールやメジャーを用いて、免震クリアランスを計測します。主に次のような箇所を計測します。
免震クリアランス計測では、次のような箇所でクリアランス不足を発見することがあります。
免震クリアランス不足の発見は、三次元パズルを解くようなものです。どの部分が地面側でどの部分が建物側なのかを把握し、それが動いたとして、どこにぶつかりそうかを発見して免震クリアランスを計測します。
竣工後に追加工事された配管や配線ラックは、とくに注意が必要です。免震の知識がない人が工事した場合には、クリアランス不足になることがよくあります。
また、ある物件で、車いす用の通路が増設されていたことがありました。その通路は免震クリアランス不足があり、地震が発生したらその通路が溝に落ちてしまうことが判明しました。もし、クリアランス不足の通路を車いすが通過していたときに大地震が発生したら、事故になる可能性が高いことは明らかでしょう。
もし、追加工事をする場合には、あらかじめ建物を設計した会社に相談することをおすすめいたします。
免震装置の点検、補修等に関するお問い合わせやご相談、ご依頼等は、
お問い合わせフォームもしくはお電話にてご連絡ください。
お見積もりのみのご対応もいたしますので、お気軽にご相談ください。
(9:00~18:00 土日祝:定休)