免震装置の中に免震ダンパーといわれる装置があります。免震ダンパーの最大の目的は、地震の揺れによる衝撃を減衰させることです。そして、免震ダンパーの種類によっては、揺れによって建物の位置のずれを元に戻してくれる機能があります。
鋼材ダンパーには、U型鋼材ダンパーや鋼棒ダンパーがあります。
U型の強力なバネが設置されている鋼材ダンパーです。ダンパーに求められる強度に応じて、U型バネの本数が決まります。
ループ状の鋼棒が花びらのように設定されているので、ループ状鋼棒ダンパーとも呼ばれます。
U型鋼材ダンパーや鋼棒ダンパーは、共に金属の太いバネの力によって、地震による揺れのエネルギーを減衰することができ、建物を元の位置に戻す力が働きます。
バネの部分には塗装がしてあり、錆を防止してくれています。この塗装は、発災時の建物の揺れでヒビが入ったり、一部が剥がれ落ちたりします。
鋼材ダンパーの目視点検では、塗装の状態をチェックすることが欠かせません。もし、塗装が劣化していたり、金属部分が錆びていたりしたら、タッチアップを行う必要があります。
鋼材ダンパーの詳細は、「免震鋼材ダンパー」のページをご覧ください。
U字に湾曲した太い鉛の柱が、地震の揺れで伸び縮みします。その鉛の粘性を利用して、建物の揺れのエネルギーを減衰してくれます。しかし、建物を元の位置に戻す機能がありませんので、U型鋼材ダンパーや鋼棒ダンパーなどと組み合わせて使用します。
大きな地震が発生したら、鉛にヒビが入り、性能が劣化していく恐れがあります。そのためか、最近の新築ではほとんど使用されなくなりました。
鉛ダンパーの目視点検では、ボルトの緩みや金属部分の発錆のチェックに加え、鉛の本体部分に傷がないかのチェックを行います。
シリンダー内に封入された油の粘性によって、地震による揺れのエネルギーを減衰してくれます。シリンダー内にて、軸棒の先にはピストンが取り付けられています。ピストンには小さな穴が開いていて、ピストンが移動するときに、その中を通過する油の粘性で抵抗が発生します。免震ダンパーの中で最も複雑な構造をしています。
免震オイルダンパーは、バネとしての機能がないため、建物を元の位置に戻す機能がありません。そのため、高減衰積層ゴムと併せて使用されることが多いです。
免震オイルダンパーの目視点検では、ボルトの緩みや金属部分の発錆のチェックに加え、オイル漏れやカバーに損傷がないかのチェックを行います。
減衰こまは、軸にボールネジが切ってあります。シリンダー内部には、回転体と粘性体が封入されています。ボールネジと回転体はボールベアリングで連結されています。
地震の振動などで軸が押されたり引っ張られたりすると、回転体が回転します。それにより、地震のエネルギーを回転運動に変え、ひいては粘性体の熱エネルギーに変換され、地震のエネルギーが軽減される構造になっています。
減衰こまの目視点検では、ボルトの緩みや金属部分の発錆のチェックに加え、異物の付着や粘性体の漏れのチェックなどを行います。
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