地震が発生したときに、地震の揺れが強いと建物内の家具が転倒したり、建物自体が損傷を受けたりすることがあります。そのような地震の揺れのダメージをなるべく受けないようにする対策の一つとして、「免震」があります。
免震とは、地面と建物を切り離し、地面の揺れが建物に直接伝わらないようにした構造のことです。
制振は、免震とは異なり、地面と建物がくっついています。そのため、建物は揺れてしまうのですが、揺れを吸収する装置を各階に設置することで、建物の揺れを軽減します。
そして耐震は、地震の揺れで建物が壊れないように、建物の梁に筋交いを入れるなどして補強することです。
大きな建物における免震装置の設置場所には、次の3つのパターンがあります。
建物の地下に免震装置を設置するパターンです。地上の建物全体の揺れを防ぐことができます。ほとんどの免震建物が基礎免震です。
建物の中間階に免震装置が設置されるパターンです。免震装置が設置された階よりも上層階の揺れを防ぐことができます。中間階免震は、基礎免震と比べて物件数は少ないです。
地上部分がピロティになっている建物(1階部分に駐車場などがある場合が多い)に設置されている免震構造になっており、揺れを防ぐことができます。柱頭免震も基礎免震と比べて物件数は少ないです。
建物を免震にするメリットは、地震による建物の揺れを防ぐことです。免震装置の性質にもよりますが、大きな地震に遭遇しても、わずかな揺れに軽減されます。そのため、家具の転倒や建物の損傷が大幅に軽減されます。
すべての建物が免震になればいいのですが、免震はメリットばかりではありません。デメリットとして、免震層の工事や装置の値段によって、建築コストが高くなります。特定建築物に指定されていなければ強制ではありませんが、定期的な免震点検が求められます。
よく免震を導入している建物には、データセンターやオフィスビル、病院、公共的な建物があります。もちろんマンションでも免震を導入しているところがあります。
データセンターでは、高額な設備を地震の揺れから守る必要があります。個々の設備を免震(床免震)にしているところもありますが、建物全体を免震にしているところも多いです。
病院では、高価な機器がたくさんあることだけでなく、命にかかわる機器が置かれています。また、手術中に地震が発生し、手術が中断しないようにするためにも、免震の導入は欠かせません。
官公庁舎や警察署、消防署などの公共建物が免震を導入する理由は、震災があったときに拠点になることと避難場所になる建物だからです。
免震点検の実施は、特定建築物に指定されていなければ、強制ではありません。そのため、建物が竣工してから免震点検を1回も行っていない建物もあります。
免震層内は湿気があることが多いため、免震装置の金属部分が錆びてしまうこともあります。
建物によっては、雨の度に、免震層内に入り込んだ雨水で免震装置に水しぶきがかかっていたこともありました。その免震装置は、防塵カバーが損傷し、金属部分が錆びていました。
もし、建物が竣工してから1回も免震点検を行ったことのないのであれば、念のため当社のような専門業者にて免震点検を実施されることをおすすめいたします。
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