最近では、たくさんの雨を降らす台風や局所的な豪雨が増えてきました。免震層が地下にある免震建物は、このような豪雨が予想されるときは、免震層に雨水が入り込まないように見張る必要があります。
免震層には排水ポンプが設置されています。排水ポンプの能力以上に水が入ってきたり、排水ポンプが壊れていたりした場合に、免震層に水が溜まり、水没してしまうことがあります。
もし、免震層が豪雨によって水没してしまったら、その復帰を専門業者に依頼することがベストですが、おおよそ次の手順にて回復させます。
免震層の入り口から排水ポンプを入れて、免震層の外部に溜まった水を排水します。排水のためのホースを設置するとき、通行人がある場所では、誘導員を配置した方が良いです。
排水時間は、免震層に溜まった水の量と排水ポンプの性能によって異なります。
免震層内の雨水を排水したら、次に雨水といっしょに入り込んだ泥を撤去します。
免震層内にある装置は、高圧洗浄機を用いるなどして、付着した泥を洗い流します。
雨水には何が含まれているかわかりません。積層ゴムの嫌う薬品、油等が含まれているかもしれません。積層ゴムは、至急真水で洗い流し、ウエスでふき取ってください。
また、水に浮かんでいる材木等が、積層ゴムに当たって傷がついている可能性もあります。その他の免震部材にも、問題が起きることがあります。鋼材部分の錆も考えられます。
免震層に浸水があった場合、免震部材・免震層内の点検が必要になります。この点検のことを応急点検と呼びます。応急点検は、当社のような免震点検業者にお任せください。
次に、応急点検で見つかった指摘事項の原状復帰を行います。例えば、免震装置の鋼材部が発錆していたら、タッチアップを行います。ゴミが堆積していたら、それらを撤去します。
また、排水ポンプが壊れていたら、また水没する前に、排水ポンプの修理を行います。もし、排水ポンプの排水量が足りないとお感じであれば、より高性能な排水ポンプに取り換えることも検討すべきでしょう。
免震層には、免震装置だけでなく配管やダクトが設置されています。それらが水に浸かったり、湿気が多い状態にしていたりすると、金属部分が腐食したり、壊れたりする可能性があります。
また、雨水といっしょに泥やゴミが免震層内に流れ込みます。その泥やゴミは沈殿して、免震装置に付着したままになります。
免震装置によっては、泥やゴミによって、免震装置に傷が付いてしまうことも考えられます。
免震層が水没したら、いち早く排水して、原状復帰を行うことをお勧めいたします。
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