免震点検いろは

免震建物の免震層内で見られる工夫

免震建物の点検を行っていると、建物によっては免震層内の安全性や利便性などを高めるために「なるほど」と思える工夫をしているところがあります。

免震層内で見られる工夫をいくつかご紹介しますので、ご覧ください。

免震層内の電灯

免震層内には、年に1回程度ですが、定期的に点検を行います。免震層内は地下にあることが多いため、基本的に真っ暗です。

そのため、当社の免震点検スタッフは、免震層内に入るときには、ヘルメットに懐中電灯を取り付けています。また、場合によっては、投光器を持ち込むこともあります。

しかし、ヘルメットの懐中電灯だけでは、暗くて点検しにくい場合もあります。足元が濡れていて滑りやすくなっている場合もありますし、できれば免震層内全体が明るくなればと思う物件もあります。

免震建物によっては、免震層内全体に蛍光灯が設置されている現場があります。そういった場合にも懐中電灯を持ち込むのですが、辺りが真っ暗よりは、点検の見落としが少なくなります。

腰の高さより上に設置されたコンセント

免震層内の点検では、あまり電源を使用しませんが、補修作業では電源が必要となることがあります。もし免震層内にコンセントがなければ、ドラム式延長コードで外から電気を引っ張ってこなければなりません。

免震建物によっては、免震層内にコンセントが設置されているところがあります。ドラム式延長コードを免震層の外から配線する必要がないので、外の歩行者への配慮がなくなります。

そして、免震層内のコンセントは、たいてい腰の高さよりも上にあります。その理由は、免震層内に水が侵入したときに、コンセントが水に浸かってしまうことを防ぐためです。もし、コンセントが水に浸かってしまったら漏電してしまいます。

一般的には、コンセントが抜けないように、地面に近いところに設置されていることが多いですが、免震層内のコンセントは水没の対策として、高い位置にあるのです。

ビデオカメラの設置

免震層内にビデオカメラが設置されていることがあります。ビデオカメラと言っても、ハンディータイプではなく、セキュリティ用の天井に設置されるようなタイプのものです。

免震層内に不審者が侵入していないかどうかや、地震があったときに免震装置の動作を確認するために設置されています。

免震層内には小動物が侵入することがありますので、その確認にも利用できそうです。

免震層の出入口に回転灯

免震層の階段を下りたところや、ハシゴを降りたところに回転灯が設置されている免震層があります。この回転灯のスイッチは、免震層の出入口付近にあり、スイッチ入れると光が回転します。

なぜ、免震層の出入口に回転灯を設置するかと言いますと、広くて暗く、東西南北のどちらを向いても同じような地形の免震層に長時間入って点検をすると、方向感覚を失い、出入口の場所を見失うことがあるためです。免震層内での作業に慣れていない人であれば、なおさらです。

作業を終えて出入口を探すぐらいのことだったら問題にはなりませんが、それが作業員の一人が怪我をしたり、急病で倒れてしまったりしたらどうでしょうか?

パニックになって、出入口の場所がさらにわからなくなり、二次災害を引き起こしかねません。

ガラス張りで免震層内が見える

建物の地震に対する安全性をPRするために、免震層内や免震装置が見られるようにしている免震建物があります。

免震層になっている場所の壁がガラス張りになっていたり、1階の床の一部がガラスになって免震層が見下ろせたりでき、免震装置を確認することができます。

また、工場が免震建物になっているところで、免震層内の一角を展示施設にして、免震建物を紹介するパネルが設置されているところもあります。

建物の安全性を訴えることで、建物の利用者に安心感を与えたり、建物の付加価値の高さを知ってもらったりすることができます。

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