免震点検いろは

免震建物の見分け方

オフィス街を歩いていると、よく免震建物を見かけることがあります。免震点検を毎日のように行っていると、「この建物は免震点検をしているのだろうか?」と疑問に感じる建物もあります。

今回のテーマは、免震建物の見分け方です。ここでご紹介する建物のある部分を発見することができたら、その建物は免震です。そのある部分をご紹介する前に、免震建物の構造から説明いたします。

免震建物の構造

免震とは

免震装置は図のように、地面と建物が分かれていて、免震層と呼ばれている建物の地下室に免震装置が設置されています。

地震で地面が揺れても、免震装置がクッションをしてくれて、建物が揺れから免れる構造になっています。

地面側と建物側には隙間があり、地震で地面が揺れても、地面側と建物側がぶつからないための充分な隙間が空いています。この隙間は、「免震クリアランス」と呼ばれています。

エキスパンションジョイント

免震建物の1F通路に設置されたエキスパンションジョイント

免震建物かどうかを見分けるのに、もっとも目に付きやすいものが「エキスパンションジョイント」です。

先ほど述べたように、免震建物は地面側と建物側に隙間を設けています。その隙間から下は数m程度の深さの穴になっています。その隙間に何もなければ、人が落ちてしまう可能性があり危険です。

エキスパンションジョイントとは、その隙間を埋めるように敷き詰められている板のことです。

エキスパンションジョイントは、板とは言え、とても重たいものです。重量物が通過しても壊れないように頑丈な造りになっており、また、人の手で簡単に動かせるものであれば危険なためでもあります。

エキスパンションジョイントの色は、建物の景観を損ねないように、基本的に地面の色と同じものが使用されています。

免震点検では、エキスパンションジョイントに損傷や隙間がないか、地震が発生してエキスパンションジョイントが動いたときに、そこに障害物がないかなどを確認します。

階段の不自然な隙間

免震マンションの階段の不自然な隙間

建物の1階に階段で上がるタイプの免震建物があります。道路よりも1階が若干高い位置にあります。その階段の途中を横からのぞき込むと、階段の下側に不自然に隙間が空いている階段があります。

このタイプの免震建物は、エキスパンションジョイントは自転車の通路のスロープなど、一部にしか使用されていないため、エキスパンションジョイントを発見することが困難な場合があります。

その階段の隙間の奥には、黒いクリアランスラバーが設置されているので、暗い感じがします。クリアランスラバーは、そこから小動物や落ち葉などが免震層内に侵入することを防いでくれます。

もし階段を歩いているときに地震の揺れを感じたら、すぐさま免震建物に戻ることが大切です。階段のところにいたままだと、地面の揺れに合わせて建物が移動してくるので、足や体に当たって危険です。

免震点検では、隙間の奥にあるクリアランスラバーが損傷していないか、階段の手すりが地震で障害物にぶつからないかなどを確認します。

標識看板

免震建物の標識看板

建設省(現在、国土交通省)が平成12年に告示した「建設省告示第二千九号第四の五」に、「出入口その他の見やすい場所に、免震建築物であることその他必要な事項を表示すること。」とあります。

標識看板のデザインやサイズの規定はありませんが、免震建物には免震建物であることを伝える標識看板を設置することが義務付けられています。設置場所は、免震建物の利用者が利用する入口付近などの見やすい場所に設置することになっています。

エキスパンションジョイントや不自然な隙間が発見できなかったとしても、この標識看板を発見したら、その建物は免震建物です。

免震点検では、標識看板の有無や損傷などをチェックします。

もし、標識看板が設置されていない免震建物があれば、当社にて標識看板製作・設置を承りますので、お気軽にご相談ください。

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