免震建物は、地震から住んでいる人、働いている人、財産を守ります。また、倉庫や工場、研究施設、サーバが設置されている電算センターなどでは、在庫品や機械、電子機器を守ります。
そういった免震建物の中で、駐車場を免震にすべきか、またどこまで免震にするのかは、建物によってコンセプトが異なり、興味深いところです。
物流倉庫の中には、トラックがスロープで各階に上がり、それぞれの階に荷下ろし場がある巨大な倉庫があります。東日本大震災で、大手スーパーのスロープが壊れてしまった映像が流れていたことがありました。もし、地震でスロープが壊れてしまったら、トラックが下りられなくなってしまいます。
そのようなことから、都内にある大型の免震物流倉庫では、スロープまで免震にしているところがあります。その免震物流倉庫は、当社にて定期的に免震点検をさせていただいております。
スロープの最下部にエキスパンションジョイントがあり、荷物が積まれたトラックの重さに耐えられるような設計になっています。
この免震物流倉庫では、大きな地震があっても、倉庫内の荷物やトラックが守られるだけでなく、震災後に事業を早急に復帰させることができます。
物流倉庫全体を免震構造にするということは、建設コストがとても高いと思います。しかし、震災復興のためにも、物流は欠かせないものです。その物流をいち早く復旧させることを考えた建物になっています。
立体駐車場は、内部に自動車がたくさん入りますが、震災があって装置が損傷してしまうと、自動車を取り出せなくなってしまいます。そのような事故を防ぐために、立体駐車場を免震化しているところがあります。
立体駐車場に自動車を駐車するときには、カーゴの中にうまく自動車を入れていきます。その入口のところが、免震クリアランスになっています。つまり、立体駐車場に入るところにエキスパンションジョイントがあり、そこを通過して立体駐車場の中に入る仕組みになっています。
都内には立体駐車場がたくさんありますが、そのように免震になっている立体駐車場であれば、安心して自動車を預けることができます。
大震災の直後は、幹線道路は通行止めになりますが、その期間を超えたら自動車を使って事業活動を行っていく必要があります。そのときに立体駐車場が壊れていて、自動車が使えなくなっていたら、事業活動の再開が遅れてしまいます。しいては、復興も遅れてしまうことにもなります。
そのようなことから、免震立体駐車場は貴重な存在だと言えます。
マンションでは、駐車場を免震構造にすることはあまりありません。稀に、マンションの1階に数台駐車できる駐車スペースごと免震化されている免震マンションがあります。
自動車の数が多くなってくると、駐車場を免震にするためのコストが割高になってきます。郊外のマンションで土地があれば、駐車場を免震にするよりも、青空駐車場にした方が、圧倒的にコストが安くて済みます。
都内のとある高級マンションでは、数台程度駐車できる地下駐車場を免震にしているところがあります。
高級マンションですので、そこに住んでいる方の自動車も資産として高級車をお持ちであることが多いと思います。その免震マンションでは、「駐車場も免震なので資産が守られる」というメリットがあります。自動車を資産としてお持ちの方であれば、やはり震災から自動車を守りたく感じるはずです。
マンションの1階からスロープで駐車場に降りるのですが、その途中にエキスパンションジョイントがあります。自動車の重量に耐える構造で、なおかつタイヤが滑らないような表面構造になっています。
マンションによっては、自動車用エレベータや立体駐車場が付いているところがあります。そのような免震マンションでは、自動車用エレベータや立体駐車場の直前が免震クリアランスになっているところもあれば、ターンテーブルをも含めて免震になっているところもあります。
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