青森県の山中にある新築マンションの免震点検でのエピソードです。青森県は、年間の地震発生回数が日本全国の都道府県の中でも割合多いところです。青森県にはスキーリゾートや温泉リゾートなどがいくつもあります。そのようなリゾートの近くに新築の免震マンションがありました。マンションの場所は山中ですので、移動は車です。
免震マンションを建てた施工業者様からのご依頼の竣工検査で、季節は1月、雪が降りやすい冬です。青森県に入ったら、恐れていた大雪に遭遇しました。車のタイヤにチェーンをはめ、なんとか現地にたどり着きました。もちろん、マンションの外周には雪がつもっていました。
免震層はビルの中にあるため、その場所での免震点検は難なく行うことができます。問題は免震マンションの外周部です。
ちなみに、免震マンションの外周に雪がつもっていても、雪は指摘事項になりません。地震のときに建物と雪がぶつかったとしても、雪は簡単に壊れ、建物にはダメージがほとんどないことが容易に予想されるためです。指摘事項になるのは、人造のもので、建物を傷つけてしまう恐れがあるものです。
しかし、雪の中に人造の障害物が新たに設置されている可能性も捨てきれません。リゾートマンションでは、建物の景観をよくするために、外周部に植木や散歩道を照らすガーデンライトが設置されていることがあります。
通常であれば、クライアント様にて雪かきを事前に行っていただくのですが、当日は急な大雪でした。クライアントである施工業者様と共同してマンションの外周1m程度の範囲を雪かきしていたら、スコップが何か異物に当りました。
慌ててその部分の雪を掘り返してみたら、クリアランス部に塩ビ管が出てきました。さっそくメジャーで建物からの距離を測ってみると、クリアランス不足でしたので指摘事項になります。
その場にいた施工業者様に確認すると、撤去し忘れていた仮設の塩ビ配管とのことでした。竣工前に撤去するとのことでしたので、指摘事項にはいたしませんでした。
このように、免震点検では雪が外周部に積もっていたら、その雪を撤去していただく必要があります。基本的に除雪はクライアント様にて行って頂いております。
雪国の免震建物、特にドカ雪が降る地方であれば、できれば、免震点検を行うシーズンは冬を避けてご依頼ください。雪が積もっていると、外周部の免震点検がきちんと行えない可能性があるためです。
また、雪かきが必要になれば、それだけ点検に余計に時間や費用がかかってしまいます。
今回のエピソードでは、雪かきができる程度の降雪でしたが、あまりにも雪が積もっているときには、雪かきができませんので、「点検不可」という報告をしております。
免震点検は、雪のシーズンを避けるように、早めの日程を組まれることをおすすめいたします。
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