免震建物とは、免震装置が設置された建物のことです。免震装置は戸建て用もありますが、免震建物と言えばビルやマンションなどの大きな建物を指すことが多いです。
ここでは、免震建物のメリットとデメリットについてまとめました。
免震建物のメリットは、当たり前のことですが、地震の揺れを防いでくれることです。地震があっても免震建物は揺れが小さいので、建物の中の被害が最小限に抑えられます。
例えば、大きな地震があっときに、通常のマンションであれば家具が倒れ、食器類が飛び散ってガラスが散乱することがあったとしても、免震建物のマンションであれば揺れがかなり軽減されるので、マンションの中にいる人が「地震かな?」と思う程度で済むこともあります。
このように、地面が地震で揺れたとしても、免震建物は揺れが軽減されるため、地震によって建物が倒壊したりすることはまずありませんし、外壁が剥がれたりヒビが入ったり、設備配管が破損したり、扉などの建具が開かなくなったりすることもほぼありません。
高層ビルや高層マンションで、免震装置が設置されていない建物であれば、地震の揺れで壁が破損することもあります。そのときに破損した壁の破片が落下して、建物の下を歩いている人や近隣の建物に被害を及ぼす可能性もあります。免震建物であれば、地震の揺れによって建物が損傷することが少ないので、外を歩いている人や近隣の建物にも影響を少なくすることなくすことが可能です。
マンションでは、多くの人が生活をしています。免震マンションであれば、建物が損傷しにくいので、避難生活を余儀なくされることも少なくなることでしょう。また、揺れが少ないので、地震による火災の被害が軽減されこともメリットです。
地震によって建物の躯体が歪み、扉の開閉ができなくなることがあります。震災直後は盗難の被害も多いと聞きますので、扉を開けっぱなしにしておくことはできません。扉を締めてしまうと、また扉を開けることが困難なこともあることでしょう。
しかし、免震マンションであれば、玄関の扉がずれることも少ないので、震災発生後の防犯的にも役立つこともメリットです。
このように免震建物はメリットが多いのですが、デメリットもあります。まずあげられるデメリットとしては、建物の建築費用が高くなることです。建築費用には、免震装置本体や設置費用がかかりますが、。ライフサイクルコストを考えればメンテナンス費用が抑えられ、メリットとなります。
また、免震建物は通常は地下に設置されています。免震装置を設置するスペースのことを、「免震層」といいますが、その高さ分だけ建築時の穴を深く掘る必要があります。その分のコストがかかります。
免震層の存在について、「免震層を物置にできるのでは」とメリットを感じる方もいますが、免震層には可燃物や障害物があるといけませんので、免震層を物置にしないようにしてください。
次に、免震装置は定期的な点検が必要になるというコスト面のデメリットがあります。
免震装置は設置したら放置したままであれば、部分的に錆びたり傷が付いたりして劣化していきます。そして、劣化した装置を発見したら修繕する必要があります。また、免震装置の周りに落ち葉などの可燃物が堆積した場合には、それを取り除く必要があります。
免震装置は、建物に加わる地震の揺れを軽減してくれますが、直下型地震の縦揺れや、横揺れであっても長時間の揺れにあまり強くありません。基本的に免震装置は横揺れを軽減してくれる装置ですので、縦揺れに対するクッション性を持った装置はまだ少数です。また、揺れが長く続くと地震の揺れと建物の揺れが共振して、建物の揺れが強くなることがあるためです。
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