まず、特殊建築物についてご説明いたします。特殊建築物とは、建築基準法第2条2項に記載されている建物のことです。
二 特殊建築物 学校(専修学校及び各種学校を含む。以下同様とする。)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物をいう。
特殊建築物の中でも、特定建築物というものがあります。これは、建築基準法第6条や政令で定められている建物です。
「第6条第1項第一号に掲げる建築物」とは、劇場や映画館、病院、学校、百貨店など、不特定多数の人がたくさん訪れる建物です。その他の政令で定められる建物として、自治体によって異なりますが、老人ホームや託児所などをはじめ、規模が大きめのマンションも含まれて来ることがあります。
括弧書きで「国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物を除く。」とあります。ここで、建築主事を置く市町村とは、人口25万人以上の市であれば必置とされています。しかし、人口25万人未満の市町村では、任意で置くことができます。
建築主事を置いた市町村では、特殊建築物の指定を独自に決めることができます。もし都道府県内の市町村に建築主事が置かれている場合は、市町村の取り決めが採用されるようです。
また、建築基準法第12条には、次のように記載されています。
第6条第1項第一号に掲げる建築物その他政令で定める建築物(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物を除く。)で特定行政庁が指定するものの所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、当該建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者にその状況の調査(当該建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、当該建築物の建築設備についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
簡単にまとめますと、特定建築物は、建物の設備の点検を行い、その報告を定期的に行う必要があるとのことです。建物の設備には、もちろん免震装置なども含まれてくるものと考えられます。
建築主事を置いた市町村のことまでは調べておりませんが、都道府県の取り決めで、マンションが特殊建築物に指定されるかどうかを調べました。(2019年5月9日現在)
都道府県 | マンションが特殊建築物に当たる条件 | 報告頻度 | 参考URL |
---|---|---|---|
北海道 | 該当用途が3階以上のものであって、かつ、床面積の合計が1,000㎡を超える建築物 | 3年ごと | 参考URL |
青森県 | ①当該用途(100㎡超の部分)が3階以上の階にあるもの ②当該用途の床面積の合計が500㎡以上のもの ③2階にある当該用途の床面積が300㎡以上のもの ④当該用途(100㎡超の部分)が地階にあるもの |
3年ごと | 参考URL |
岩手県 | ・3階以上の階又は地階 ・2階の部分が300㎡以上 |
3年ごと | 参考URL |
宮城県 | ・A≧1,000 ㎡(3 階以上に当該用途を有するものに限る。) | 3年ごと | 参考URL |
秋田県 | なし | – | 参考URL |
山形県 | なし | – | 参考URL |
福島県 | 3階以上かつ1,000平方メートル以上(調査項目は外壁等に限る) 建築物は3年ごと、建築設備は1年ごと |
1年ごと | 参考URL |
茨城県 | なし | – | 参考URL |
栃木県 | なし | – | 参考URL |
群馬県 | なし | – | 参考URL |
埼玉県 | 6階以上の階にあるもの(6階以上に共同住宅がある建物のことと考えられる) | 3年ごと | 参考URL |
千葉県 | なし | – | 参考URL |
東京都 | 5階以上の階に居住空間があり、その床面積が100㎡以上のもので、マンション全体の居住空間の床面積の合計が1,000㎡を超えているマンション。 | 3年ごと | 参考URL |
神奈川県 | なし | – | 参考URL |
新潟県 | 3階以上、もしくは2階建て以上で床面積の合計が300㎡以上 | 3年ごと | 参考URL |
富山県 | なし | – | 参考URL |
石川県 | 3階以上の階の対象用途面積500㎡超かつ延べ面積1,000㎡超のもの 地階の対象用途面積500㎡超かつ延べ面積1,000㎡超のもの |
3年ごと | 参考URL |
福井県 | なし | – | 参考URL |
山梨県 | 5階以上の階にあり、かつ、対象用途の床面積の合計が1,000 ㎡以上であるもの | 3年ごと | 参考URL |
長野県 | なし | – | 参考URL |
岐阜県 | なし | – | 参考URL |
静岡県 | なし | – | 参考URL |
愛知県 | なし | – | 参考URL |
三重県 | なし | – | 参考URL |
滋賀県 | なし | – | – |
京都府 | 3階以上の階を当該用途に供し、当該用途に供する部分の床面積の合計が1,000㎡を超えるもの | 3年ごと | 参考URL |
大阪府 | 3階以上に対象用途があり、1,000平方メートル以上のもの 5階以上に対象用途があり、500平方メートル以上のもの |
3年ごと | 参考URL |
兵庫県 | F≧6FかつA(6F 以上の床面積の合計)>100㎡ | 3年ごと | 参考URL |
奈良県 | 延べ面積が1,000㎡以上のもの 3階以上の階でA>100㎡のもの |
3年ごと | 参考URL |
和歌山県 | 500㎡を超えかつ階数が3以上のもの。 | 2年ごと | 参考URL |
鳥取県 | なし | – | 参考URL |
島根県 | なし | – | 参考URL |
岡山県 | なし | – | 参考URL |
広島県 | なし | – | 参考URL |
山口県 | なし | – | 参考URL |
徳島県 | なし | – | 参考URL |
香川県 | なし | – | 参考URL |
愛媛県 | なし | – | 参考URL |
高知県 | 3階以上の階にあるもの 2階の対象用途床面積の合計が300㎡以上であるもの 地階にあるもの |
3年ごと | 参考URL |
福岡県 | 5階以上に当該用途 (福岡市のみ5階以上のいずれかの階のA>100㎡) |
不明 | 参考URL |
佐賀県 | 階数が5以上、かつ、当該用途の床面積が1,500平方メートル以上のもの | 3年ごと | 参考URL |
長崎県 | なし | – | 参考URL |
熊本県 | なし | – | 参考URL |
大分県 | なし | – | 参考URL |
宮崎県 | なし | – | 参考URL |
鹿児島県 | 5階以上,1,500㎡超 5階以上において当該用途に100㎡超を有するものに限る。 |
3年ごと | 参考URL |
沖縄県 | なし | – | 参考URL |
特殊建築物に該当するマンションでは、定期的に建物の設備の点検を行い、自治体に報告する義務があります。
この建物の設備について見落とされがちなものがあります。それは、「免震装置」です。
免震装置とは地震時に揺れを防ぐ機能を有している装置のことです。もし、あなたのマンションが特殊建築物に該当するのであれば、点検/報告する義務のある設備の中に、免震装置やそれに付随する設備も含まれています。
免震装置の設備があるマンションを管理されていた場合、竣工してから免震点検は行っておりますでしょうか?
もし一度も点検を実施していないと、地震時に正常に免震装置の機能を発揮できなかったり、メーカーの保証が受けられないこともございます。
弊社では、有資格者による正確かつスピーディーな点検が強みの会社で、実績も豊富です。免震装置とそれに付随する設備の点検を全国どこでも伺い点検いたします。
免震装置の点検内容や、実際に点検を行う際の費用等、ご不明な点がございましたら、まずはお電話ください。
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