東北にある免震オフィスビルの竣工検査での出来事です。通常は、1カ月前ぐらいに竣工検査をします。もし指摘事項があったとしても、1カ月あれば是正ができるからです。
この現場では、竣工検査で指摘事項がいくつもありました。主な事例をあげますと次の通りですが、どれも是正が必要です。
是正箇所が多いので対応を依頼する業者は1社でないですし、指摘箇所の是正してくれる業者を特定するのも時間がかかります。
また、このオフィスビルの竣工時は、たまたま数多くの建物で竣工が重なる時期だったため、業者がつかまりにくい状態でした。そのため、強引に業者に依頼をするためには、依頼料も足元を見られてしまいます。現場の収支管理からすると、そのような予算が出せないということで、指摘事項の是正が引き渡し日に間に合わない可能性が出てきました。
その後の経過はわかりませんが、引き渡しを遅らせることは、まずありませんので、強引に是正を行ったことでしょう。
竣工検査で焦って是正するよりは、中間検査で免震点検を行った方がよいです。中間検査である程度の指摘事項が発見できるので、引き渡しが伸びることを防ぐことができます。
もし、中間検査にそれほど費用をかけることができないのであれば、中間検査ではフルスペックの検査を行わずに、層内環境の検査や免震装置の目視点検だけでも行うことはいかがでしょうか。部分的な検査を中間検査で行っておけば、このエピソードのような事態にはならなかったと思います。 そのように、中間検査は、結果的にコストを抑えることにつながる、保険のような役割があります。
このエピソードでは、指摘事項が、電気配線や設備配管などの多岐にわたっていたので、さまざまな業者に依頼をして、早急対応で費用もかさんでしまいます。中間検査の費用はかかってしまいますが、引き渡し前での慌ただしさを軽減できるのです。
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