「今は“一人前”になること以外、頭にない」
K.O/調査部:入社1年目
「社長、社員の人柄」と「事業の安定性」で
中途入社を決断した彼の挫折と成長を密着した。
初めて「社会に貢献している実感を持てた」という彼の真意に迫る


圧倒的スピードと正確性に驚いた
今回の現場は神奈川県のとあるタワーマンション。前日に測定器などの道具を車に積み、現場リーダーSさんと当日現地へ。
マテリアルリサーチ(以下:MR)は定期点検が多いことから、現地移動中の車内でSさんから現場情報、注意事項などを共有した。
まず現地では入場手続きを行い免震層に向かう。新人Bは免震層に入り、道具や荷物、点検シートなどの準備をした後、Sさんと改めて、注意事項や各免震装置や周辺に何が有るかを確認する。初めて地下の免震層に入った時は、その広さ、免震装置を間近にしたときに圧倒されたが、数ヶ月経ち、少しずつ臆せず仕事ができるようになっていた。Sさんが点検の割振りや目安の点検時間など指示をもらった。また免震装置の点検に限らず、建物が地震で動いたときに障害になるようなもの(設備配管・架台・躯体間等)が無いかなどの点検も重要な業務のため、注意深くSさんの話に集中した。まだまだ経験不足が否めない新人Kは質問、確認を繰り返した。
そして点検開始。MR創業時の先輩社員は各免震装置の点検マニュアルなどの資料が整っていなかった為、先輩社員の動きや装置の見方などを「目で盗み、メモして覚える」といった方法で、スキルを積み上げていったが、現在は点検マニュアルにわかりやすく記載している為、全社員が共有できることから、自己流というより、マニュアルに従って、正確且つ慎重に業務を遂行していけば、基礎的な点検、測定ができる社内体制があった。
点検自体は研修や現場で適宜リーダーに同行して実習をしていきたので、基礎知識はあるものの、毎回現場では建物の構造、免震装置の種類、また数量も異なる為、点検ルート、目安時間などを把握しながら点検していく。現場では作業時間が決まっており、正確性が重要だ。しかしSさんは新人Kのスキルを把握したうえで、徐々にスピードも意識させながらリードしている。点検シートのチェック漏れや計測ミスがあると報告書作成責任者に負担か掛かってしまう。当初、新人Kは自分でも簡単にできると思っていたが、実は単純作業でも、より効率的な点検、測定方法や段取りがあることを毎回現場で痛感していた。
現場によって、高い技術レベルが要求される点検があり、こうした現場ではリーダーSさんのサポートをしながら学ぶ新人K。どのような免震建物でも、基本的には積層ゴムやすべり支承ならびにダンパーが設置されていることが多い。高層マンションやオフィスビルでは重量物を支えるために、多くの免震装置が設置されている。それら全ての免震装置を把握し、素早く的確に且つ効率的に点検をするSさんの仕事ぶりは、新人Kとは圧倒的にスピード、正確性、知識、技術の差を感じる日々だ。

知識量と経験値の積み上げ+α
入社して数か月、Sさんはじめ先輩方の仕事を垣間見ると、Kは現場も報告書作成も圧倒的に業務スピードが遅いと感じる日々だった。そんなとき、Sさんに車中で何気なく相談したところ、「はじめは、みんな同じだよ。私もそうだったよ。まずは点検の時に無駄な動きを直すことが1番かな。あとは自分で判断せず、都度、現場リーダーに確認しながら、自分の判断や見解が一致しているのかを確認しながら、スキルを積み上げていけば良いと思う。」
新人Kは、点検時、正確にそして丁寧に業務することを意識するがあまり、何度も積層ゴムの周りをぐるぐる回って点検していたり、ちょっと心配なことも自分の判断で点検したことが少なからずあったことを思い出した。研修や先輩の動きを見ていたので、ミスをすることはなかったが、必要以上に無駄な動きが多く、担当する点検の目安時間を超過することが何度かあった。
これは報告書作成でも言えることだ。気持ちが逸り、ケアレスミスが何度もあって、よく報告書作成責任者にフォローしてもらっていた。報告書はかなりの量の入力や現場で撮影した写真の掲載などがある。また直接のお客様やメーカー様からの御依頼によって、報告書の書式や免震装置のメーカーの既定数値などが異なり、更に建物の規模(点検する業務量)も様々だ。新人Kは現在、報告書の一部作成を担っており、最終的に報告書作成責任者が各点検担当者から提出された報告書を最終的にまとめてもらっている。
現場も報告書作成も「経験が必要」ではあるが、冷静に落ち着いて業務をすること、またMRは質問や相談をしても、本当に快く教えてくれる先輩社員が本当に多いので、自分の習得した点検スキル含め、報告書作成も積み上げていく意識の大切さを学んでいった。

働く意義や意味を初めて感じた
入社して数ヶ月の新人K。彼に今後の目標やMRで描くビジョンついてを聞いてみた。彼は即答した。「現場リーダーから求められる業務をとくかく正確にクリアすること。これが今1番思っていることです。とにかくそこは早くクリアしたいです」と。続けて「現場リーダーの皆さんは私の現在値(スキルや仕事に対する意識)を理解してくださったうえで、私が出来ること、また今より少しだけ高い要求も指示してくれるので、やっぱり毎日毎日そこをクリアして積み上げるということですね!やっぱりKに任せておけば、どんな現場でも安心だね。と言われたいじゃないですか。」
そして、しばし沈黙が続き、、。
「そうした現場リーダーの要求に対して、私がクリアし続けていった先に職長(現場リーダー)が見えてくるかなと思っているので」
Kは少し自信無さ気に話していたが、話し終わった時、真剣な眼差しで自身に言い聞かせるように頷いていた。
最後に、「高層マンション、高層オフィス、行政の建物など、人々の生活の安全、安心を陰で支えているっていう気持ちで仕事をして、終わって、地上に出ると、、何だかまだまだ未熟ですが、少しは社会に貢献できてるっていう気持ちになれることがあって。」
この言葉を聞いた時、彼の5年後、もう一度、取材してみたいと感じた。