免震装置や免震建物は定期的に点検を行うことで、その機能を維持することができます。一般社団法人免震構造協会では、免震装置等の点検基準を定めており、年1回以上の通常点検や、5年目や10年毎の定期点検を推奨しています。
また、概ね震度5弱以上の大きな地震の後や、台風や突風で概ね風速30m/sを超える強風が吹いて建物が大きく揺れた場合や、水害および火災の影響が免震層に及んだ場合には、スポットで応急点検を行うことを推奨いたします。
応急点検とは、1年に1回定期的に行う通常点検や、5年目や10年毎に行う定期点検とは異なり、大きな地震の後や強風が吹いて建物が大きく揺れた場合に行う免震点検です。
概ね震度5弱以上の大きな地震の後や、台風や突風で概ね風速30m/sを超える強風が吹いて建物が大きく揺れた場合に推奨します。最寄りの気象台の観測値を参考に、応急点検実施をご検討ください。
応急点検の内容は、目視主体の通常点検とほぼ同じで、次の通りです。建物が揺れた後なので、免震装置が破損していないかどうかに加え、エキスパンション・ジョイントやクリアランスラバーの状況確認を念入りに行います。
積層ゴムの傷は、大きな地震や強風によって積層ゴムにダメージが加わってできる可能性があります。
積層ゴムを固定しているボルトは手のひらサイズほどもある大きなものですが、このボルトが建物の揺れで、手で回すことができるぐらいに緩んでいることがあります。ボルトはトルク管理されているため、触診で緩みがないかどうかを確認して増し締めするのではなく、発災後は直ちに増し締めすることをお勧めいたします。
フランジなどの鋼材部の塗装の剥がれは、露出した金属部分が錆びてしまう恐れがあります。塗装のヒビや剥がれが見つかった場合は、錆が発生するまえにタッチアップ(塗装修理)することをお勧めいたします。
エキスパンション・ジョイントは人が出入りや通過する場所に設置されているため、発災後は直ちに確認が必要です。発災により、エキスパンション・ジョイントが跳ね上がり、そこに、大きなズレや隙間ができて、足がつまずいたり、足が挟まれたりして転倒するなどの怪我につながる可能性もあります。
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